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KSDigital ユーザーレビュー(連載企画)


第3回
ドラマー/作編曲家/サウンドプロデューサー
佐々木章(ササキ アキラ)氏 
       
あらゆるシーンでご活躍の佐々木さんは
C-CoaxシリーズからC-Referenceシリーズになって最初のC5ユーザーであります。

「いいものはいい!」 ぶれない評価を持つ佐々木さんにとってC5-Referenceの
存在意義とは何かお聞きしました。

―まず、いつ来てもオシャレで素敵なホームスタジオですね。

佐々木氏)ありがとうございます。笑)

-昨年2018年6月頃だったと思いますが。
その時、KS-Digital C5-Referenceの最初の印象はいかがでした?

佐々木氏)はい、C5は自分のスタジオの大きさにぴったりのサイズ感でした。
すでにGenelec 8431APもあって。

Genelecと組み合して、とても使いやすいという印象を持ちました。
ある程度音量を上げていっても飽和せず、しかも長時間でも痛くならないので
好印象でしたね。

                             

―実際、作業するうえで、Genelec 8431APとC5-Referenceを切り替えながら。

佐々木氏)そうそう。

― 確か以前はGenelec1030とYAMAHA NS-10M Studioでしたね。
それからGenelec 8341APを導入されて。実際使ってみて8431APの印象はどうですか?

佐々木氏)8431APに関しては現行のヒップホップ音楽によくマッチしたスピーカーかなあと。
R&B、その辺の音楽ととても相性がいいですね。

―8341APを採用した理由を述べるなら?必要性はどんなところに感じたりします?

佐々木氏)単純に音場補正というかルームアコースティックのDSP補正が助かっています。

特に日本のように狭いスタジオが多いと、ルームアコースティックの調整がやはり難しいと思うのですが、
そういう時にDSPでの調整はかなり有効ですよね。

どこのスタジオで聴いてもある程度同じ音になる可能性があります。これは我々制作している者にとってはとてもありがたい事です。実際困っていたスタジオ空間のディップも解消しました。

あと、8431APで作業するとすごく楽しかったんです。
例えば最新の楽曲、今日アップデートされた音が8431APだとしっかりモニター出来ますね。


―2つを比較しながらの作業環境は満足?

佐々木氏)そうですね。作業していくと、どっちがどういう感じというのはあるので、
合わせて確認の為に切り替えてというのはありますね。

8431APで聴いて「こんな感じ」という事をC5で確認したり。
そういう意味でC5の存在はすごくいいですよね。

―曲を作るお仕事でモニタースピーカーというものに期待することや大事なこと、
ポイントはどんなものですか?

佐々木氏)私の仕事について曲を書くとか、アレンジをする時に大事なのは、自分自身の気持ちが盛りあがるかどうかなんです。

例えばドラムトラックを作っていて、「かっこいいじゃん!!」といって作業に入っていきたい。それが出来るかどうかが、僕らはすごく大事で。

今この瞬間に没頭できるかが。そういう意味で盛り上げてくれるか。
それは、音楽を聴いていてもそうだし、作業していてもそうだし、という共通するものがあります。

―盛り上げてくれるモニター環境とは?具体的にいうと?

佐々木氏)顕微鏡で音が見えるようなものは、僕はそこまでは必要なくて。
ミックスするわけではないので。それよりは、その作業にしっかり入っていける、乗せてくれるのがまず一番大事ですね。

作品に入っていけるかどうか。それは必ずしもハイファイじゃなくてもいいかもしれないし、すごい古い機材だったとしても良ければいいです。

でも音域レンジの狭いシステムのものだと仕事にならないし、モニターという意味では分かりづらいですし。バランスをみてスピーカーは選んでいます。

個人的にはスタジオモニターぽい音が「良い音」というわけでは無いと思っています。

―C5-Referenceを採用した確信っていうと。

佐々木氏)ドラムの音がかっこよく聴こえるかどうか。単純に制作のスタジオで使うスピーカーとしてはそれが大事です。カッコいいドラムトラックが作曲のキッカケになったりトラッキングの決め手になります。 

なので作業に入っていけるかどうかというのも、結局僕は生のドラムの音を良く知っているので、ドラムの音がかっこよくないと、その曲に入っていけないんですよ(笑)

C5は十分にそれを満たしてくれます。仕事をする面ですごく気に入っています。
それには低域の スピード感、高い解像度、パワー感が必要ですし、それでいて自然な音である事もとても大切です。


―なるほど。プロのドラマーが認めるC5のドラムサウンド!

佐々木氏)あとC5は音がデジタル臭くない感じと、同軸のパシッとフォーカスがあっている感じとか、兼ね揃えてる感じはします。パワー感もニアフィールドモニターとしては必要充分です。

同軸ならではの定位の良さとミッドローが充実していて、更にワイドレンジ。この3つが同時に成立ますね。とてもいいバランスで鳴ってくれています。

―とっても抽象的ですけど、日々変化を遂げる音楽、オーディオについて何か考えることはありますか

佐々木氏)私は世代的にもアナログの時代も知っているので、自分がプロになりつつある頃にProtoolsが出てきた時代だから、その両方が好きなんですよね。

今はやりませんが、E-muとか、Ensoniqのサンプラーとか、そういうマシンで作った音が好きで次はそれをProtoolsに録音してエディットし始めました。

今はシンセサイザーもサンプラーもプラグイン化してしまい、すべてPC(Mac)上でやることが多いけど、音作りってそういう時代の流れで出来ていて。

―音楽制作に歴史ありですね。

佐々木氏)僕はアナログとミックスして使うのが好きなんですよね。
単に古臭い音が好きなわけではなくて、Protoolsは今の製作には絶対に必要だし、だけど、あれの中だけで出てくる音では物足らなくて。

―今のデジタルな時代だけじゃなく、アナログの良さも経験した世代ですね(笑)

佐々木氏)そう、例えば写真で例えると新しいのと古いのと混ぜて使うのが好きです。
ローファイなんだけど太くて強い音と今のワイドレンジな音をミックスしたい。
というのが、写真と似ているなと思いました。

わざわざフィルムで撮ってネガを現像して、そのフィルムをPCでスキャンして取り込んで、フォトショップで好きな色に編集して、好きな絵に仕上げていく。

実際の音楽制作と似ていますよね。

―アナログでしか出ない色、フィルムの質感とか臨場感とか。

佐々木氏)よく資料としてアナログレコードを試聴するのですが。
実はC5-Referenceでアナログレコードを聴いた時に、すごくびっくりしたんですよね。
めちゃくちゃいいじゃんって。笑)

アナログレコード等の表現力を音で確認する時、Genelec8431APではいまいちで。不向きというか。
その分、C5-Referenceはすごく良い再生のための出口になっているんじゃないかと思います。
それもあって本当にC5が欲しくなっちゃって。笑)

―これはまさに贅沢な組み合わせですよね。Genelecの同軸とKS-Digitalの同軸。
まさに二つの違いを体感していますね。

佐々木氏)そういう意味ではGenelec8431APなどは音作りが時代とともに進歩していくその先端の部分を受け止めているんじゃないかなという気がします。
実際の楽曲にはアナログな要素がどんな最新の曲でも入っています。

8431APはそういった要素を感じさせないぐらい最後のまとまっているようなものが音として出ている感じがして。逆にC5はもっとそういうものをリアルに感じさせてくれる、安心感があるのかなと思います。

だから8431APでアナログレコードを聴くと、全然盛り上がらないという事は、最新の音作りとレコードの時代の音がかけ離れている感じはします。


―ということはC5は最新の音楽には向いていないということ?

佐々木氏)いえ、向いていないということではなくアナログレコードの音像の太さと、デジタル的な高解像、そしてワイドレンジ、が同居している!と感じていますよ。
それと程よい自然さ。物足りなさも感じないし、脚色もあまり感じないです。

―心理的に聴きやすいですよね。なぜか懐かしいというか。

佐々木氏)僕自身、音に太さがないと信じられないというか、そういうのが自分の中にあります。C5はそこを再生してくれますね。笑)

―確かに。私もアナログレコード試しましたが当時のスピーカーで聴いていた時よりも、もっと繊細でレンジも広く聴こえる。

佐々木氏)こんなにアナログレコードって音が良かったんだ、いろんな音が入っていたんだってびっくりします。当時のスピーカーでは限界があったのかも。

自分の好み(ジャンル的なもの)もあるかもしれないけど、C5が自分とすごく相性が良かったと思います。ジャズも結構いいですよね。

70年代、80年代、90年代位までのSoul,ブラックコンテンポラリーと呼ばれたような曲、R&Bと呼ばれた様なもの、AORと呼ばれた様なもの。そしてhip-hop。
この年代の音源はとても太いですね。そこをC5だと感じられます。

低域の充実と高域の伸び。レコード盤に刻まれた情報を残さず再現していて
その時代の自分のお気に入りの音楽にも凄くマッチしている。

Queency Jonesの手がけた音楽,そしてRufus, Michael Jackson, etc...
それらとC5はすごい相性がいいですよ。(笑)


―そのほか購入のきっかけとなった事っていうと。

佐々木氏)見た目がいいですね。ビジュアルとしてウッドパネルがおしゃれですし、スクエアなデザインがかわいいですね。あとスタンドもいいアイディアだと思います。

―ウッドパネルとスタジオの雰囲気がベストマッチ!ですね。 笑)

佐々木氏)余談ですが作業するスタジオ外にも家でも使いたいと思えます。スタジオモニターとしても使えるけど、リスニング用のスピーカーとしても認知されてもいいかなと思っています。

―音楽制作の上で感じるリアルなお話をお聞きすることができました。
ありがとうございました。


第4回目は7月26日に更新予定
マスタリングエンジニア 袴田剛史(ハカマタ タケシ)氏 
https://victorstudio.jp/hd/e212/

そのほか週ごとで多彩なキャストでレビューをご紹介させていただきます。乞うご期待下さい。
<プロフィール>
佐々木章(ササキ アキラ)
https://www.seedseekers.tokyo/blank-6

ドラマーとしてレコーディングやライブサポートをこなす一方、楽曲提供やサウンドプロディースをこなす。
Black Music全般に強い影響を受け、グルーブを重視したトラックメイキングとメロディセンスには定評があるアーティスト。