ユーザーインタビュー

第12回 ランドマークスタジオ レコーディングエンジニア
近藤 麻衣 (Mai Kondo) 氏




―この度は取材をお受けいただきありがとうございます。近藤さんがエンジニアのキャリアをスタートしたのはこのランドマークスタジオですか?

近藤氏) そうですね。専門学校を卒業してすぐここに来ました。



―専門学校はどちらの?

近藤氏)地元、北海道の経専音楽放送専門学校です。



―コンソールがあって。

近藤氏)ランドマークスタジオと同じSSL4000Gでしたね。



―今ここで何年目ですか。



近藤氏)今9年目ですかね。




―もう長いですよね。



近藤氏)そうですね。アシスタントエンジニアとしてはベテランの域になってきました。



―入社されたときはもうテープメディアはなく。

近藤氏)もうProtoolsでしたね。

―そのころのモニターの定番はやはりYAMAHA NS-10M Studioですね。



近藤氏)はい。10MかGenelecですね。まあ、ほとんど10Mが常設なので。それで育ちましたね。



―勿論ランドマークスタジオクラスですときちんとラージスピーカーも調整されていて、ラージもよく使いますか?

近藤氏)そうですね。同じ頻度くらいで。ニアフィールドを10Mで、用途によって切り替えています。




―近藤さんがKSD C8-Referenceにたどり着くまでに他に印象に残ったモニタースピーカーはありますか?



近藤氏)最初に気になっていたのはFocalなんですけど。TwinかSolo6とかが気になってはいて、手が届く範囲でいうとSolo6かなって。それで実際聴いてみようと楽器店に行って、その時にKSD C5と一緒に聴いて。その時はC5の良さが際立っていていました。あまりKSDの事を良く知らなくて、気になってレンタルさせてもらって。という経緯でした。


―最終的には私の推しもあってC8も聴いていただきましたね。



近藤氏)そうですね。



―モニタースピーカーを探し始めたっていうのは結構前からなんですか?



近藤氏)ここ半年くらいの話ですかね。エンジニア仕事が増えて、自分用のモニタースピーカーが無くてそれでいろいろ悩んでいたんですが。



―エンジニアとしての独り立ちにどのくらいの期間が。



近藤氏)私の場合は仕事を頂ける方々に出会ったのが 2年前くらいでしょうか。スタジオに入って 6 年くらい経って、最初エンジニアさんから仕事を振っていただいてそこから繋がれた、という感じですね。あとはスポット的なものですけど、ハウスエンジニアでお問い合わせいただいた仕事もありました。



―ここは大きなスタジオですからいろんな仕事がありそうですね。



近藤氏)ジャンル的にはバンドもありますし、劇伴とかオーケストラですかね。ジャズもあります。和楽器系もたまにあります。結構いろんな分野を経験できます。



―バラエティに富んでますね。すごいですね。



近藤氏)偏りがないですね。



―近藤さんがご自身のモニタースピーカーを探すうえでのポイントはどんなことに着目されますか?



近藤氏)元々ナチュラルなスピーカーがいいなあって思っていて。最近のスピーカーはドンシャリだったりという話はよく聞いていて、実際いろんなスピーカーを聴いてみてもちょっと何か作られたような音でローの出方をしていたり、空気を無理やり動かしてるみたいな。そんな気がしていて、自然なスピーカーがないかなあと探してはいて。



―ランドマークスタジオに来るエンジニアさんたちもモニターは持ち込まれますか?

近藤氏)そうですね。ほとんど持ち込みの方が多いですね。比較的ADAMが多いですかね。



―ADAMの印象として近藤さんはいかがですか?



近藤氏)個人的には好き嫌いでいうとどちらでもなく。ただ持ち込まれる方が多いので慣れてきました。リボンツイーターは個人的には好きなほうですけど。


―そうなるとFocalいいかなみたいな。



近藤氏)Twinを持ってきているエンジニアさんがいて。印象いいなあって。それでFocalのスピーカーを試聴してみる事にしました。



―それまではKS digitalは聴いたことが無くて。



近藤氏)そうですね。聴いたことなかったですね。ただ一人だけC8をスタジオに持ってきてる方がいて。でもその時は私、別作業があって聴けなかったんですよ。なので初めて聴いたのは楽器店です。周りからは同軸スピーカーは慣れるまで大変って聞いていて、だからどうかなあって思っていました。でも実際聴いてみてそんな違和感はなく、ギャップといいますか、いいイメージじゃないところからこれ良いぞ、という。魅力に感じたところはあります。



―改めて同軸の良さってありますか。



近藤氏)同軸でいうとTANNOYも試聴したのですが、これは慣れるのが難しそうだなと思いました。一方でKS digitalはわかりやすいと思いました。理解しやすいイメージでした。ミックスのモニターも良さそうだなと。


―Genelecではなく。



近藤氏)手が出なかったという。(笑)でもKS digitalのほうが良い印象は持ちました。



―実際C8で作業してみていかがでしたか?



近藤氏)ミックスはすごくわかりやすくて使い易いですね。このスピーカーでかっこよく聴こえないといいミックスではないというのがすごくわかりやすいので、うまく作れていればうまく鳴ってくれますし、それがわかりやすいので、購入の決め手になりましたね。



―ピントが合っているかがはっきりするっていうか。



近藤氏)そうですね。レコーディングの時はラージスピーカーで音作りをしてC8で確認してOKみたいな。


―ラージとC8を切り替えたときのつながりというか違和感はないですか。



近藤氏)そうですね。違和感はないです。わかりやすいですね。


―貴重なご意見本当にありがとうございました。






<プロフィール>

近藤麻衣(コンドウ マイ)氏
株式会社スキップファクトリー所属
レコーディングエンジニア
1993年生まれ

経専音楽放送芸術専門学校を卒業後、LANDMARK STUDIOに入社、現在アニメやジャズなど幅広い音楽のレコーディング&ミキシングを手掛けている。